COLUMN

コラム

2024.03.29

ガラスと金属の気密接合における重要条件②

②金属の表面処理および酸化膜形成

ガラスと金属を接合する場合、高気密性かつ信頼性の高い接合を実現するためには、金属部材の前処理も重要なポイントとなります。山村フォトニクスでもいくつかの処理を行っておりますので、今回はそれらをご紹介します。

 

金属の表面処理

圧延やプレス、切削、絞り加工等で作製した金属部材は、通常、表面が汚染されているため、接合を行う前に適切な表面処理を行うことが必要です。汚染の種類や状態により、化学的エッチング処理や物理的ホーニング処理などを行うことで、十分な洗浄を施します。洗浄が不十分だった場合、この後説明する予備酸化膜の形成が不均一になったり、接合部に泡が発生するなど、接合後の気密性や、接合強度に影響を及ぼす問題が発生することがあります。

 

酸化膜形成前の加熱処理

接合の安定性や信頼性を確保するためには、金属の表面に酸化膜を形成することが有効です。酸化膜があることで金属に対するガラスの濡れ性が良くなり、また、金属酸化物がガラス中に拡散することで気密性の高い接合となります。酸化膜形成のためには、まずは前処理として下記のような加熱処理を行う必要があります。この際、全ての処理を行うのではなく、金属の状態や接合方法に合わせて選択します。

 

(1)脱炭処理

金属表面の微量炭素や有機系の汚れをウェット水素で除去する方法です。この方法では、表面にわずかな酸化反応も起きており、この後の酸化膜形成を容易にします。

aH+HO+C→aH+H+CO

 

(2)窒素加熱処理

金属表面の有機系の汚れを熱分解する方法です。同時に金属のアニール処理にもなっていますが、過度な加熱は窒化に繋がるので注意が必要です。

 

(3)真空処理

金属表面の微量炭素を真空中で除去する方法です。

 

酸化膜形成

ガラスと金属の気密封止を行う場合に選択される金属は、主にKovarやFeNi合金です。これらの金属を一定温度で加熱すると、表面にマグネタイト(Fe3O4)が酸化膜として形成され、この酸化膜がガラスと金属の接合促進材として働きます。厚すぎるとリークの原因となり、薄すぎると強度低下に繋がるので、最適な厚さの酸化膜を形成することが必要になります。ガラスと金属の気密接合において、この酸化膜の形成が特に重要なノウハウとなります。

 

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