COLUMN

コラム

2024.06.03

ガラスと金属の気密接合における重要条件③

③ガラス中への金属酸化物の拡散層形成

拡散層形成

ガラスと金属を接合する際には、加熱によりガラスを軟化させて金属に接合します。この時、接合部分では、鉄の酸化物がガラス中に拡散し、化学的な結合となることで高気密接合を実現します。拡散の度合い(広がりや深さ)は、ガラスの粘性流動に依存し、また、加熱温度や加熱時間、加熱方法の影響を受けます。ガラスの拡散深さは一般的には15μm程度が望ましく、拡散が不足するとリークに繋がり、過度になると接合強度の低下に繋がるため、接合前の酸化膜の形成と、接合時の拡散層の形成が、ガラスと金属の気密接合におけるもっとも重要な部分と言えるでしょう。

 

 

拡散の事例

それでは、どのような拡散状態が理想的なのでしょうか?理想的な接合例とそうでない場合について、Kovarの接合例で見ていきましょう。

(1)理想的な気密接合例

理想的な接合では、鉄の酸化物がガラス側へ拡散し、拡散後酸化膜と拡散層の2層が形成されます。さらに、拡散後酸化膜中の酸素とケイ素のずれがない状態となります。この状態を実現するためには。接合前の酸化膜形成と、接合時の加熱条件の設定を適切に行うことが必要となり、そこがノウハウとなります。

 

 

(2) 熱処理不足による拡散不足の例

熱処理不足により、鉄の酸化膜が拡散しておらず、拡散層が十分に形成されていない状態です。このような状態となった場合、化学的結合が十分に形成されないことから、接合強度が弱く、気密が保てない可能性が大きくなります。

 

 

 

(3) 初期酸化量が多く拡散しきれていない例

接合前に形成した酸化膜が多すぎる場合、拡散後酸化膜におけるSiとOのずれが広がり、接合界面に針状結晶のようなものが析出します。これが多くなると亀裂が発生し、気密が保てなくなります。

 

 

いかがでしたでしょうか?

 

ガラスと金属の気密接合製品には、気密性を保つことはもちろん、使用中に破損・破壊が発生しない高信頼性が求められます。高い信頼性を確保するためには、ガラス中への金属酸化膜の拡散メカニズムを十分に理解することが重要ですので、山村フォトニクスでは、予備酸化膜の形成および加熱パワーの条件出しを積み重ね、さらに最適な管理方法を定めています。山村フォトニクスの真空容器は、30年を経ても気密が維持されており、その高い品質からお客様の信頼を得ています。今回はKovarの事例を紹介しましたが、鉄・ニッケル合金以外の材料、例えばシリコン、ゲルマニウム、タングステン、426合金などに関しても豊富な気密接合ノウハウを保有していますので、お気軽にお問い合わせいただけましたら幸いです。

 

 

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